この研究は体脂肪の分布状態を判別する方法を見いだすことを目的とするものである。被験者は20歳〜26歳の健康な女子大学生29名の了解を得て実施した。核磁気共鳴画像(Magnetic ResonanceImaging : MRI)はスライス厚10mm間隔で、足底から頭頂までのT1強調横断画像を得て、これらの画像から皮下脂肪、内臓脂肪およびその他脂肪に分類した。脂肪量はそれぞれの面積にスライス厚を乗じて体積を求めた。内臓脂肪量の簡易測定法を見いだすために、身体各部位のインピーダンスを計測した。特に、躯幹部については腋窩部、臍上5cm部、臍部、臍下5cm部の各横断面毎に、それぞれ前-後間、左-右間のインピーダンスを計測し、併せて電極間距離の計測をした。 その結果:水中体重秤量法から算出された体脂肪量とMRI法から得られた体脂肪量との間には1%水準で有意に高い相関が認められた。臍上5cm部、臍部、臍下5cm部の各横断面レベルについて、MRI法より得られた内臓脂肪量とそれら身体各部位レベルのインピーダンス値との相関は、1997年度と異なり98・99年度共に有意な結果は得られなかった。それは、内臓脂肪分布には個人差が非常に大きいことに起因するといえよう。内臓脂肪量と臍部レベルの体側の皮下脂肪厚が5%水準で有意な相関を示した。
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