研究課題/領域番号 |
09680130
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
伊藤 孝 日本体育大学, 体育学部・衛生学公衆衛生学, 教授 (70060788)
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研究分担者 |
木村 直人 日本体育大学, 体育学部・衛生学公衆衛生学, 助教授 (20225048)
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キーワード | 夏季強化合宿 / 長距離選手 / 生体負担 / 免疫機能 / 好中球 / 活性酸素バランス |
研究概要 |
本研究では、運動選手における健康管理の観点から、競技能力の向上を図る目的として実施されている強化合宿時およびその後の回復時における生体の免疫機能の変化、特に好中球の活性酸素種産生能(ROM産生能;ルシゲニンおよびルミノール依存性化学発光法におけるpeak height(PT)photon/sec)について、調査(1);男子長距離選手(n=11)を対象とし、夏季における4回の強化合宿期間中(約40日間)の変化、調査(2);女子長距離選手(n=7)を対象とした夏季強化合宿中および合宿後の回復時における変化について、それぞれ調査・検討を行った。調査期間中におけるCPKは両調査とも経日的に増加を示し、合宿後には両調査において有意な上昇が見られた。一方、調査(1)における好中球のROM産生能は、経日的に僅かに減少を示したものの、合宿後には逆にルミノール依存性化学発光によるPHは約2.3倍の上昇を示していた。したがって、調査(1)では、合宿中の運動ストレスに対して生体は適応を示していたと考えられる。それに対して調査(2)における好中球のROM産生能は合宿直後においていずれも有意に低下した。この結果から、調査(2)では、運動ストレスによる生体負担が高まり、免疫機能を抑制したと思われる。しかしながら、終了3日後には反対に著しい上昇を示し、さらに終了20日目においてもこれらの上昇は継続していたので、生体内における恒常性の保持に加えて、その後の代償的反応が相加的に加わったことから、よりいっそう免疫機能を亢進させたものと推察される。以上の結果から、生体への負担が高まる強化合宿時においては、トレーニングプログラムは勿論、栄養摂取や休息・休養日など、合宿生活全般にわたった計画を立案する必要があると思われる。
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