脳波バイオフィードバックトレーニング装置を長年検討してきた結果、(1)脳波は前額皮上電位を測定すること(2)直接関係する脳波をα波(8〜13Hz)として3等分(α_1、α_2、α_3)し、隣接するθ波とβ波も併せてとれるようにすること。(3)装置を取り付けやすい脳波の導出部位を前額の右(Fp_2)の位置に固定すること(4)装置は持ち運び易く安価であること として装置を改良し、その装置を用いて以下の実験を行った。 イメージによる色・情景・音を用いた前額皮上電位α_2波BFTによる注意の集中の向上について検討するため、優勢前額皮上電位α_2波とパフォーマンス成績との関係についての5つの仮説を検討した。すなわち女子大生22名を対象に、一点集中状態及び多点集中状態における優勢前額皮上電位およびパフォーマンス(注意の一点集中および多点集中)成績について、次の実験を行った。 実験Iで被験者全員に注意集中の成績、集中時の前額皮上電位を測定した。実験IIでは、実験Iの一点集中の成績によって分けられた等質な二群のうち、BFT群のみ脳波BFTを行った。実験IIIでは、再び被験者全員に実験Iと同じことを行った。それらの実験の結果から、次の結論を得た。 1.注意の一点集中状態がよいとき優勢前額皮上電位Fp_2 α_2波が多く出現していると考えられる。 2.多点集中状態がよいとき優勢前額皮上電位α_2波が多く出現するという仮説は検証できなかった。 3.優勢前額皮上電位Fp_2 α_2波BFTによって優勢前額皮上電位Fp_2 α_2波を増強できると考えられる。 4.優勢前額皮上電位α_2波BFTによって優勢前額皮上電位Fp_2 α_2波を増強した場合、注意の一点集中の成績を向上させることが可能だと考えられる。
|