本年度の研究では、イメージによる色・情景・音を用いた前額皮上電位α2波BFTによる注意の集中の向上について検討するため、優勢前額皮上電位α2波とパフォーマンス成績との関係についての5つの仮説を検討した。すなわち女子大生22名を対象に、一点集中状態及び多点集中状態における優勢前額皮上電位およびパフォーマンス(注意の一点集中および多点集中)成績について、次の実験を行った。 実験Iで被験者全員に一点集中成績と多点集中成績、および両集中時の前額皮上電位を測定した。実験IIでは、実験Iの一点集中の成績によって分けられた等質な二群のうち、BFT(Biofeedback)群のみ脳波BFTを行った。実験IIIでは、再び被験者全員に実験Iと同じことを行ったが、BFT群には各試行前にα2波を多く出すように指示した。それらの実験の結果から、次の結論を得た。 1. 注意の一点集中状態がよいとき優勢前額皮上電位Fp2 α2波が多く出現していると考えられる。 2. 多点集中状態がよいとき優勢前額皮上電位α2波が多く出現するという仮説は検証できなかった。 3. 優勢前額皮上電位Fp2 α2波BFTによって優勢前額皮上電位Fp2 α2波を増強できると考えられる。 4. 優勢前額皮上電位α2波BFTによって優勢前額皮上電位Fp2 α2波を増強した場合、注意の一点集中の成績を向上させることが可能だと考えられる。 5. 優勢前額皮上電位α2波を増強することによって、注意の多点集中の成績を向上させることができるとは、今回の実験では言えなかった。なお、多点集中状態測定の課題やその方法の検討を含めて、再度、詳細な検証が必要であると考えられる。
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