本研究では、脳波BFT(Biofeedback training)との関係からHR(Heart rate)BFTによって反応時間(RT)を短縮できるかどうかを検討したい。具体的方法として、RTが速い時のHRを検討した後、その良好な状態をBFTで再現することによって、RTの短縮を試みる。また、運動経験の有無や運動の種目によるRTの違いも検討する。 対象は女子大学陸上競技部員(以下、陸上部員と略す)8名、剣道部員8名、非運動経験者8名、合計24名。本実験は実験I、II、IIIで構成されている。すなわち実験IではRTを測定するが、単純反応において最もRTの速かったセットのHRを検討する。実験IIでは実験Iの分析をもとに目標心拍数維持のBFTを行う。実験IIIでは再び実験Iと同様の実験を行う。 実験の結果、次の結論を得た。 1.HR・BFTによってHRをコントロールすることができると考えられる。 2.HR・BFTによってHRをコントロールすることでRTを短縮することができると考えられる。 3.概して、運動経験の有無や経験している運動種目の違いが、RTの違いを生むと考えられる。その理由は、常に刺激に対して速く反応するという運動経験によって反応時間短縮のトレーニングを積んでいることや、その運動経験の性質がRTの違いに大きく関係しているためと考えられる。
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