研究概要 |
高校生の日常生活時に発現する不定愁訴には,どのような症状がみられるのであろうか.この不定愁訴の発現は、生徒の健康状態を把握するための指標になる.すなわち,日常の労作(運動)に由来する疲労感(不定愁訴)の発現と,一方では,運動不足に起因する自覚症状の発現がある. 本年度は,この両者の実態を捉えるため,運動負荷時の疲労スコアを検討するとともに,不定愁訴の発現にかかわる運動の内容と量,体力とのかかわりについての調査結果をまとめると同時に,高校生の体型・生活習慣の要因を考慮し,以下の結論を得た. (1) 高校生が訴える疲労感は,第1校時に高い状況にあるという知見を得た.これは,睡眠による疲労回復が期待できないことと,前日からの蓄積疲労の傾向を示すものであった. (2) 運動により,自覚症状の訴えレベル(疲労スコア)は,改善された.特に,「ねむけとだるさ」の症状が軽減された,この運動による主観的疲労スコアの減少は,フリッカー値の変動より裏付けられた. (3) 体育授業時の運動負荷強度が平均35歩/分を境界域として,それ以下では,疲労スコアが低下,それ以上では,疲労スコアは増加した.つまり,体育授業における運動には,運動前の疲労度を軽減する種目と,逆に疲労度を高め,トレーニング効果が期待できる種目とがあり,体育授業時の身体活動量から,それらは区別できるものであった.したがって,目的に応じた運動種目の選択が望まれた. (4) 運動前の疲労スコアを低く維持するためには,睡眠時間の確保,生活リズム(生活習慣)の朝型化,体力の向上の必要性が明らかにされた.
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