研究概要 |
本研究は,【1!○】衆議院の選挙制度改正に伴う政治組織の再編と地域社会の対応を分析し、選挙制度改正に伴う政治地域構造の再編過程を明らかにする,【2!○】中選挙区制における選挙区と行政区域の不整合の問題や定数不均衡を地域問題として捉え,中選挙区制が抱えていた問題点が新制度においてどのように変化したかを考察する,【3!○】中選挙区制以前の選挙区の変遷をたどることにより,選挙区という政治地域のもつ意味を明らかにし、諸外国の場合と比較検討する,という3点を目的として行った(研究成果報告書の第1章)。以下に,主な成果を記す。 【1!○】については,まず,1996年10月に行われた第41回衆議院総選挙の結果を、七つにタイプ分けされた選挙区ごとに検討し、選挙結果と地域特性との関係を考察した。その結果,選挙区のタイプと選挙結果との間に明瞭な関連性が認められた(研究成果報告書の第4章)。また,代議士や秘書等の政党組織関係者に対する聞き取り調査の結果,これは,未だ政局が流動的であり,中選挙区制に戻る可能性のあることが最大の理由である(研究成果報告書の第5章)。 【2!○】については,1994年に成立した衆議院小選挙区と従前の中選挙区との地理的対応関係を検討した(研究成果報告書の第3章)。 【3!○】については,1889年に始まる衆議院の成立に遡って,選挙区の変遷をたどるとともに,それぞれの選挙区制定時における人口数を選挙区ごとに算出し、定数不均衡の経年変化を把握した。その結果,違憲訴訟が行われるまでは,都道府県間の定数配分は厳密に行われていたものの,選挙区間では行政区域のまとまりが重視されており格差は大きかったこと,などが明らかとなった(研究成果報告書の第2章)。
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