研究課題/領域番号 |
09680150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小口 千明 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (20169254)
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研究分担者 |
岡村 治 筑波大学, 歴史・人類学系, 講師 (00221846)
石井 英也 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (60091881)
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キーワード | 売薬 / 懸場帳 / 明治 / 村落地域 / 地域的特質 / 風邪薬 / 需要 / 健康状態 |
研究概要 |
本研究は売薬の「懸場帳」を主たる資料とし、国内各地域における売薬の需要を具体的にみてゆくことによって、明治期の日本人がどのような健康あるいは傷病の状態であったのかその地域的特質を明らかにすることを目的とした。 本年度は、明治期を中心に配置売薬および店舗での売薬販売が行われていた地域を抽出し、当該地域における「懸場帳」資料に関する情報の収集および売薬の製造と販売の実態に関する聞きとり調査を行った。その結果、(1)売薬製造地域は都市部のみではなく、市街地から離れた村落部においても相当数が立地すること(2)風邪薬の生産および消費は大正期以降増加するが、明治期には比較的少ないとみられること(3)「懸場帳」による売薬需要地域は今日の日本国内にとどまらず樺太、朝鮮、旧満州に及ぶ地域の情報も得られるが、売薬業者のあいつぐ廃業、転業により「懸場帳」の散逸が著しく進みつつあること、などが判明した。本研究により、従来から着目されつつあった富山、奈良、滋賀、佐賀という四大産地以外の状況が明らかになることは、今後それら売薬の需要、とくに地域的消費の問題を解くうえで重要な資料となるものである。
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