研究概要 |
1.都市成長がいかに金融機能に関っているかを分析するために,主要な金融機関のうち,今年度は全国銀行(都市銀行,地方銀行,長期信用銀行,信託銀行を総称したもの)に関して分析を行った。 全国的にみると,預金・貸出両機能とも,東京の卓越性は著しい。しかも,預金機能に比較して貸出機能の方がより一層の集中が進んでいる。 2.預金量と貸出金量両者とも,東京・大阪・名古屋が都市システムの上位にランクされ,それぞれ大都市圈を形成し,国土軸の基幹をなしている。預金量の上位グループには,また,福岡・札幌・広島・仙台などの広域中心都市群が含まれている。加えて,熊本・新潟・岡山・岐阜などの県庁所在都市群も名を連ねている。 3.都市間の預貸率(貸出金/預金×100)をみると,その最高値は,福岡市(146.7%,1996年)が示し、東京(143.23)と大阪(130.3)が続く。資金量の規模を考察すると,東京と大阪の二極に資金が大きく流動し,福岡・札幌・広島・仙台なども預貸率が100%を超えて,広域的な地域から資金を集めている。11位以下の初都市でも預貸率100%以上の諸都市は,岡山・高松・金沢・鹿児島・那覇の5つであり,それぞれの地方の資金を吸引し,貸付機能の極となり,都市成長を促している。 4.一つの都市単位で金融機関の店舗立地展開をみると,郊外化しており,とくに大都市圈では,金融機能が郊外核を成長させている様相が分かる。 5.茨城圏内の中小都市群では,旧市街地での商業の空店舗率が年々高まり,商業機能の空洞化が進んでいる。旧市街地の金融機関の店舗が数少ない消費の吸引核の一つとなっている。
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