研究課題/領域番号 |
09680153
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荒井 良雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50134408)
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研究分担者 |
江崎 雄治 国立社会保障・人口問題研究所, 研究員 (40282503)
川口 太郎 明治大学, 文学部, 助教授 (90195058)
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キーワード | 人口移動 / 居住地移動 / Uターン / 地方圏 / 宮崎県 / 長野県 / コーホート |
研究概要 |
今年度は昨年度宮崎県出身者に対して実施した還流移動に関する実態調査の結果をさらに詳細に分析し、研究代表者らが別途行った長野県出身者に対する同種調査の分析結果と比較検討することにより、わが国地方圏出身者の還流移動の実態とその要因に関する総合的な理解を目指した。 その結果、(1)昭和31〜33年高校卒、41〜43年卒、51〜53年卒の3世代を比較した場合、三大都市圏にいったん他出した者のうち帰還する者の割合は世代とともに増加傾向にあり、出身者の帰還傾向はこの間着実に強まったこと、(2)既存研究における議論とは異なり、帰還者の大勢は出身県内の中心都市ではなく自らの出身市町村に帰還していること、(3)帰還率に影響を与える属性としては、学歴や続柄も無視し得ないものの、出身県が同じである女性を妻とする者は、その後の帰還傾向がきわめて強いこと、(4)還流移動者の大半が最初の就職から数年以内という比較的早い段階で帰還していること、など主要な論点に関して宮崎、長野両県での分析結果はおおむね一致していることが確かめられた。 これらを含めた分析結果全般について議論を重ねた上で、本研究においては還流移動の発生メカニズムを以下のように結論付けた。すなわち、わが国地方圏出身男性の還流移動については、総合的なライフスタイル選択の結果として実行されるものととらえることは不適当であり、むしろ就職後数年以内にかなりの高確率において訪れる仕事上の最初の転機において、単身や夫婦2人世帯であるなど比較的制約が少ない地方圏出身者が待ちうる、職業生活上の選択肢の一つとして解釈することがより適切である。
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