研究概要 |
今年度は,昨年度に引き続き,研究代表者と研究分担者が従来からそれぞれ進めていた研究を,本研究課題の趣旨に関連づけて展開することが目標とされ,各人の研究成果を総合することは最終年度である次年度の課題とされた。そこで以下では,各人が本年度どのような研究活動を行ったかを列挙することとする。 研究代表者の山田は,九州における明治以前の都市と明治以降の連続性・非連続性の両側面を,福岡・熊本・鹿児島といった旧城下町と,八幡・大牟田といった新興(鉱)工業都市とを対象として,現地での資料調査に基づいて究明しようと試みた。その一方で,近代になって新たに形成された北海道の札幌について,近代から現代への時代的な流れの中で急成長を遂げ,周辺を含めた大都市圏を形成するに至った過程についても,各種の文献・統計を用いて明らかにした。 研究分担者の足利は,前近代から近代への都市システムの連続性・非連続性の問題と関係して,前近代から近代への主要交通路(道路)体系の変化について,今年度は主として文献研究を行った。 同じく研究分担者の金坂は,幕末の開港以後急速な発展を遂げた横浜を取り上げ,その急速な都市化の状況を,幕末から明治初期にかけての種々の絵図・地図資料を比較検討することによって解明するとともに,近世以来の大都市大阪の都心部が,近代・現代へとどのように変貌したかについても,明らかにすることを試みた。 同じく研究分担者の天野は,近代の日本の都市において都市計画の手法として多用された土地区画整理事業に着目し,今年度はとくに福岡を取り上げて,その事業展開の経過についての資料収集を行った。
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