研究課題/領域番号 |
09680168
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
山本 健兒 法政大学, 経済学部, 教授 (50136355)
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研究分担者 |
松橋 公治 明治大学, 文学部, 教授 (30165849)
岡本 義行 法政大学, 社会学部, 教授 (50105847)
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キーワード | 企業間ネットワーク / 異業種交流 / 域際ネットワーク / 展示会 / voice |
研究概要 |
今年度は、企業経営者に対する2〜3時間の時間をかけての非常に詳細なインタビューを通じて、企業間ネットワークの解明に重点を置いた。訪問企業数は20社強である。 1.中沢孝夫『中小企業新時代』によって著名になった岡谷市に立地する金属加工中小企業の異業種交流グループNIOMは、青年会議所に参加するメンバーの中で製造企業の後継者たちが、地域外企業との取引開拓をねらう展示会に共同出展することを目的として結成されたものである。しかし、取引開拓だけがねらいだったわけではなく、青年会議所の枠組みの中での日常的交流を通して気心の知れた者同士が、相互の交流をさらに深めることをもねらいとしていた。この意味で、NIOMは岡谷という地域社会に埋めこまれた存在であると言える。NIOMメンバー同士の取引は例で稀であるし、これを目的としてもいない。むしろ、共同出展を通じて各企業が独自の域際ネットワークを構築してきていると言うべきである。また、相互交流を通じて経営マインドを鼓舞しあうことにも効果があった。 2.NIOMが1980年代末の企業経営後継者だったのに対して、岡谷市の仕掛けによって結成された1990年代末時点での企業経営後継者の異業種交流グループたるNEXTは、まだNIOMほどの活動成果を挙げているわけではない。しかし、従来、同じ地域内にありながら取引関係の全くなかった企業が、NEXTへの参加交流を通じて取引するに至った例もある。また、NIOMとNEXTのメンバーの間での社会的交流もあるし展示会への共同出展もなされている。 3.中小製造企業のイノベーション力は、その直接の取引先との価格をシグナルとした交流よりも、相互の生産加工ニーズをvoiceとして発信するか否か、相手から発信されたvoiceをどのように受け止めるか否かに左右される。 4.昨年度の調査も踏まえて、ドイツの中小製造企業に関するネットワークについて、論文を公表した。
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