研究課題/領域番号 |
09680168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
山本 健兒 法政大学, 経済学部, 教授 (50136355)
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研究分担者 |
松橋 公治 明治大学, 文学部, 教授 (30165849)
岡本 義行 法政大学, 社会学部, 教授 (50105847)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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キーワード | 社会的環境ネットワーク / 企業間ネットワーク / 中小企業 / カンピタンス / イノベーション / 暗知 / コード化された知識 / 産業集積 |
研究概要 |
中小企業をめぐって社会的環境ネットワークと企業間ネットワークとが存在している。いずれのネットワークも、市町村スケールのローカルなものから全国的スケールの広域的なものまで、空間的に重層している。中小企業がイノベーション力を発揮するのは、それらネットワークの相互作用と関連している。諏訪・岡谷、桐生・太田、浜松での実態調査から、独自のカンピタンスを基盤にして強い競争力を持つ中小企業は、域際的な経済取引ネットワークに組みこまれていると同時に、ローカルな非経済取引企業間ネットワークの中で重要な役割を果たしていることが明らかになった。また、域際的な経済取引ネットワークとローカルな非経済取引的なネットワークとが相互作用することも明らかになった。その典型的な事例を岡谷のNIOMに見出すことができる。 社会的環境ネットワークと企業間経済取引ネットワークとが相互作用して、新しい企業間ネットワークが生まれることもある。この新しい企業間ネットワークは直ちに経済取引的なリンケージになるとは限らない。なるとしても、数多くの経済主体が会合する場で行われる市場取引でもなく、また系列取引でもない。むしろ、新しい戦略提携的リンケージという形態をとる。 多様なネットワークを通じて、コード化された知識や暗黙知が企業間で流通する。前者の知識がローカルな場に限定されないのは当然だが、暗黙知もまた狭いローカルな場に限定されるわけではないことが実態調査から明らかにされた。これは欧米の理論的研究による仮説を覆すものである。 ローカルな社会的環境ネットワークが果たすべき重要な役割は、地域イメージを高めることにある。それによって、域内的及び域際的な企業間ネットワークが相互作用し、たえざるイノベーションの生成がみられる地域づくりが可能になる。この場合、たとえ企業数が減少したとしても、新たな集積の形態が生み出されつつあると理解できる。
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