本年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1. 本年度初頭に整備・公表された平成8年事業所・企業統計調査区特性資料のうち、大阪府下の郊外核としての成熟の兆しがある地区の一部(豊中市、吹田市、箕面市、堺市)と、郊外核との比較対象に用いる大阪市都心地区、準都心地区、副都心地区のデータを収集し、個々の核の比較検討行い、あわせて前年度に収集・分析を行った平成3年同データとの時系列比較を行った。その結果、郊外核は都心地区と比較すると、規模・特性(書くとしての成熟度)にいまだ開きが見られるが、時系列分析でその成長過程が明らかとなった。 2. 本年度後半に公表された、平成8年度事業所・企業統計メッシュデータより、東京・名古屋・京阪神・福岡の4大都市圏に関する、事業所形態別就業者数・事業所数集計(事務所および営業所、店舗および飲食店・・・いずれも500mメッシュ)を収集した。現段階では、分析の途中であるが、前年度、分析を行った昭和50年および昭和61年、平成3年の結果とあわせて、この20年間に、とくに東京・京阪神の大都市圏において郊外地域における就業者数、事業所数が増加するなかで、核形成の兆しとなる高集積メッシュが形成されつつあることが示されたが、名古屋・福岡の都市圏では郊外地域における核形成の兆しは弱く、都市圏規模による違いが明らかとなった。 3.わが国都市圏の多核化の動向を検証するうえでの基礎資料となる高度経済成長期末期囲碁の、郊外地域における地域構造の変化を分析し、論文としてまとめた。その結果は、「日本の都市圏における郊外地域の特性分類」『調査と研究(長崎県立大学国際文化経済研究所)』第30巻第1号、1999年3月31日発行予定、pp.1-18、として公表される予定である。
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