研究概要 |
後氷期広域示標テフラ噴出年代の高精度年代決定を中心に研究をすすめた.対象とした地域および対象は,東北地方北部(白頭山-苫小牧火山灰・十和田-a火山灰),伊豆(カワゴ平火砕流-火山灰),諏訪湖湖底堆積物(糸魚川-静岡構造線活断層系の活動史解明)である.白頭山-苫小牧火山灰については,白頭山北麓で採取された48枚の年輪をもつ炭化樹木試料から3点の加速器質量分析計年代測定を行い,その結果と十和田カルデラ外輪で採取された十和田-a火山灰中の小枝の高精度年代とあわせてWiggle Matchingを行った.その結果からは白頭山-苫小牧火山灰の噴出時期が9世紀に遡る可能性が高いことが示された.カワゴ平火砕流の噴出年代は425枚の年輪をもつ樹幹試料で行った5点の高精度年代測定にもとづくWiggle Matchingから,1171BC[3120 Cal.BP]前後と推定された.諏訪湖の湖底試料の連続的な年代測定値をもとに,諏訪湖湖底および周辺の活断層を震源とする地震の平均再来間隔を約1000年と推定した.この推定値は諏訪盆地の陸上で実施されたトレンチ調査から推定されている3000〜5000年の平均的な地震再来間隔に較べて著しく短い.これらの成果について,1998年12月,アメリカ合衆国サンフランシスコで開催されたアメリカ地球物理学会1998年秋季大会において,奥村が研究発表を行った.また,これらの成果は1999年8月に南アフリカ共和国Durbanで開催される国際第四紀研究連合第15回大会においても報告される予定である.
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