研究概要 |
今年度(平成9年度)は,明治・大正初期,昭和28年(1953年)頃,昭和45年(1970年)頃の3時代の5万分1地形図(以下,古地形図,旧版地形図,新版地形図と略称)を用いて全国の20河川を対象に結節網状度の計測を行ない,網状度の時空的変化を定量的に評価し,河川の総網状度により時空的変化傾向の類型化を行なった.また,河床勾配や河川の屈曲度,ダムの竣工年次および河道改修の有無など,網状度の時空的変化に影響すると考えられる要因について数河川を対象に検討した. 今年度の研究によって得られた主な知見をまとめると次のようになる. 1.対象とした河川の谷口から下流へ流路長1kmづつを1つの計測区間として網状度を計測した.しかし,網状度の変動幅が大きく,網状度の全体的な時空的変化を把握するのに不適当と考えたので,本研究では3km移動平均網状度(計測区間およびその上・下流1kmの網状度との平均値)を採用した. 2.古地形図から求めた総網状度に比べ,旧版地形図から求めた総網状度は,ほとんどの河川において減少することが判明した. 3.旧版地形図から求めた総網状度に比べ,新版地形図から求めた総網状度は各河川により増加あるいは減少し,様々な経時的変化を示す.上流域にダムが少なく,堤防により河川敷幅を縮小された河川,そして堰や水制により流体力が減少し,堆積過程が進行する区間では網状度が増加している.逆に,上流域に大規模ダム群が建設されている河川では,土砂供給量や流量の減少により網状度が著しく減少している.
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