研究課題/領域番号 |
09680183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
森脇 喜一 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (50033501)
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研究分担者 |
高田 将志 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (60273827)
野木 義史 国立極地研究所, 研究系, 助手 (90280536)
三浦 英樹 国立極地研究所, 研究系, 助手 (10271496)
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キーワード | 東南極 / 氷床変動 / 海水準変動 / 隆起海浜 / 酸素同位体比 / 放射性炭素年代 / 宇宙線照射年代 / 風化度評価 |
研究概要 |
1.東南極、エンダビ-ランド、リ-セル・ラルセン山地域において、鮮新世末〜更新世初頭の温暖氷床から寒冷氷床への変化の有無およびLGMの大拡大の有無を明らかにするために、氷河・融氷河地形とその堆積物の分布・堆積構造・風化度調査、ESR/TL/OSL年代測定、宇宙線照射年代測定用資料の採取を行った。風化度評価の結果から、この地域のティルは少なくとも4つの時代に区分されることが明らかになった。しかしながら、リ-セル・ラルセン山のような湿温暖な沿岸露岩地域では、風化度評価の基準が乾燥寒冷な内陸山地地域での基準とは大きく異なる可能性が示され、今後年代測定の結果を待って、沿岸地域独自の年代に対応する風化度評価の基準を設定する必要性が明らかになった。 2.リ-セル・ラルセン山周辺地域での現在の地形形成作用と地形変化速度を正確に評価し、極度の乾燥寒冷環境下で地形変化速度が極めて遅い内陸山地の露岩域との比較を行うために、地温観測等の機器の設置や風化しやすい比較物質(大谷石)の設置を行った。これらの機器や大谷石は次年度に回収し、短期間の物質移動の程度や風化過程の解析を行う予定である。 3.リ-セル・ラルセン山麓のリチャードソン湖および周辺湖沼の湖底堆積物・湖水の採取・分析を行った。一部の湖底堆積物の放射性炭素年代測定結果から湖底堆積物基底の年代は完新世初頭の年代値が得られたが、海面とつながっていた証拠がまだ得られていない。 4.リュツォ・ホルム湾周辺での隆起海浜調査で得られた現地成の貝化石の14C年代測定と酸素同位体比の測定を行った。その結果、この地域では従来定説となっていたLGMにおける大拡大は生じていないことが明らかになった。また、酸素同位体比の結果や貝化石の高度と年代の関係から、3〜4万年前までに大きな氷床拡大の時期があり、完新世に比べて3〜4万年前に氷床の融氷が著しく進行していたことが示唆された。
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