研究概要 |
本年度は、イギリスを中心としながら、ヨーロッパ諸国の教育課程編成制度に関する文献資料を収集するとともに、わが国において欧米諸国の教育課程の研究を行っている専門家から事情聴取を進め、各国のシステムの比較検討を行った。また、アジア諸国のうち特に韓国に注目して、同国に1998年に創設されたKICE(Korea Institute of Curriculum and Evaluation,韓国教育課程評価院)が韓国の学校教育課程の編成と評価に果たす役割を分析した。 教育課程の編成シ不テム・内容・方法等は国ごとに異なっており、それらは各国の教育に対する理念や伝統、歴史、国民的ニーズなどを反映して法的に、あるいは歴史的・自然発生的に定められてきている。世界のほとんどの国では、中央政府(教育担当省)がカリキュラムの法的な編成権を有し、中央政府によって定められた基準(わが国の学習指導要領に相当するもの)に基づいて、地方政府が地域の教育委員会や各学校の教育課程の監督・指導を行うという形態が取られている。一方、アメリカとドイツでは、教育課程の基準の編成権を地方(各州)政府がもっており、この点がその他の国との基本的な相違点となっている。また、イギリスは歴史的に教育に対する国家関与を回避してきたが、1988年の教育改革法により、ナショナル・カリキュラムを導入し、中央政府が学校教育のリーダーシップを取ることとなった。
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