研究概要 |
1.学校における環境教育の体系に関する我が国での議論についてレヴューを行った。またこれに基づいて環境教育の3次元モデルを提示し、環境教育体系化を展望した。そのモデルとは、(1)環境教育の内容領域-自然、社会、文化-、(2)環境教育の類型-in, about, and forの力点-、及び(3)学校教育段階-小学校から高等学校-からなる3次元モデルである。 2.小学校から高等学校までの教員約600を対象とした環境教育の実態や彼らの意識に関する調査を行った。その結果、次の諸点等が明らかとなった。(1)どの学校段階でも環境教育の実施状況は不十分と受け止められていること、(2)その主な原因として、時間の不足、専門的知識の不足、副読本などの教材や教具の不足、あるいは環境教育の各教科内での位置づけや環境教育にかかわる教科間の連携の不明確さ等が指摘されたこと、(3)環境教育の内容として、小学校では身近な自然環境の観察や飼育・栽培活動が重視されているが、中学校、高等学校へと学校段階を上るにつれて、都市生活型環境問題や地球環境問題の理解と快適環境の維持や創造の活動が重要視されていること、である。 3.アメリカにおける環境教育体系化の議論や優れた環境教育プラン・プログラムを探索、収集し、分析を加えた。即ち、Hungerford,H.R.の環境教育論、カリフォルニア州教育局による環境教育プラン、Project Learning Tree、及びProject WETについて、環境教育の体系性という観点から分析し、それらの特色を抽出した。 4.新教育課程における「総合的な学習の時問」における有力な教授・学習プランの1つとして、「環境とSTSとを軸としキャリア教育の要素を加えた総合的な学習」を提案し、その基本理念を解説した。
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