1.コンピュータ・ネットワークを利用して、コンピュータ画面上に心的切断テスト(Mental Cutting Test : MCT)の問題を提示し、被験者にキ-操作によって解答させるソフトウェア・システム(ワークステーション用(UNIX系)、パソコン用(MS-Windows系)の両バーション)を構築した。 なお、MCTは、本研究代表者が、図学教育との関連において空間認識力を評価する際の指標として提案したもので、現在、世界各国で広く使用されている。この問題は、25題の問題から成っており、従来は、ペ-パ-・ペンシル・テスト形式で実施されてきたものである。 このシステムの開発によって、調査結果の整理が容易になったばかりでなく、被験者の解答時間に関する調査が可能になった。 2.このシステム(ワークステーション・バーション)を用いて、東京大学教養学部において、理科系学生を対象にMCTを実施した(被験者、〜200名)。この得点結果を、従来、ペ-パ-・ペンシル・テスト形式で行ったMCTの結果と比較検討し、コンピュータ化によって得点結果に大きな変化はないことを確認した。 3.上述の調査で得られた各被験者の問題毎の解答時間について因子分析を行った。その結果、4つの因子で全体の解答時間を説明できることが分かった。また、これらの因子について、各問題の幾何学的形状との関係を考察した結果、MCTの解答過程には、1)イメージ操作による解答過程、2)分析的思考による過程、3)奥行き認識過程、4)問題分解過程の4つが存在することが示唆された。現在、更に解析を進めている。
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