本年度は、(1)学童の受動喫煙に対する反応と自覚症状の調査、(2)学童の呼気中CO濃度の調査、(3)学童および両親の尿中コチニン量の調査を行った。 (1)の調査では、学童は受動喫煙に対して「感じ悪い」が男女とも多く、また、家族が喫煙している場合は、「何も感じない」の割合が高く、喫煙家庭の学童は自分の周りのたばこの煙に無頓着であることが分かった。受動喫煙から受ける自覚症状は全体では7割の学童に認められた。 (2)の調査では、学童の呼気中CO濃度は、喫煙家庭、非喫煙家庭ともに低く、両者には差はみられなかった。 (3)の調査では、現在、鋭意尿中コチニン量を測定しているが、対象者全員の測定は終了してない。従って、途中経過ではあるが、学童の尿中コチニン量は喫煙家庭が7.8ng/mgCr、非喫煙家庭が8.6ng/mgCrであり、両者に差は見られていない。父親の尿中コチニン量は平均922.4ng/mgCrであり、喫煙者では平均1412.0ng/mgCr、非喫煙者では12.5ng/mgCrであり、両者には有意の差が認められた。 以上、調査1、調査2、調査3により、両親の喫煙状況と学童の喫煙に対する反応や自覚症状には関連がみられたが、途中経過ではあるが被煙の客観的指標には大きな差は見られていないことが示唆された。次年度はコチニン分析を終了させた上で、両親の生活習慣や、家庭内での喫煙対策の実状等を踏まえて考察を行う予定である。
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