学童の受動喫煙の影響を明らかにするため、小学5・6年生(446名)を対象として、受動喫煙に対する反応、受動喫煙による自覚症状等について調査した。全体の78.4%の学童が受動喫煙に対して否定的な回答をし、特に非喫煙家庭の学童に否定的回答が多かった。また、70.1%の学童が受動喫煙によって何らかの症状を訴えており、喫煙家庭、非喫煙家庭の比較では、自覚症状には有意な差はみられなかった。一方、喫煙習慣を持つ父母に対して家庭内で喫煙する時の配慮について調査を行った結果、家庭内での喫煙時に何らかの配慮をする者は68.3%あり、その方法としては、「家族から離れて吸う」が19.0%と最も多く、以下、「換気扇の下で吸う」「吸う部屋を決めている」が続いた。 大学生(540名)のPassive Smokingに対する反応及び自覚症状と喫煙習慣との関連について追究した結果、Passive Smokingに対して否定的回答をする者が55.6%であり、自覚症状を訴える者は61.3%であった。これを学童の場合と比べると、受動喫煙に対する否定的回答においても、受動喫煙時に自覚症状を訴える割合においても大学生の方が少ない結果を示し、年長になると他人が吸うたばこ煙への拒否反応が薄らぐことがわかった。 小学生(92名)と両親(父86名、母85名)を対象にして、受動喫煙の実態をたばこ煙曝露の客観的指標としてニコチンの代謝産物であるコチニンの尿中濃度から検討した結果、喫煙家庭と非喫煙家庭の双方の学童に同程度のコチニン濃度が認められたが、父親の喫煙本数やコチニン濃度とその子供のコチニン濃度との間には一定の関連がみられなかった。このことから、家庭内の喫煙が制限されている反面、家庭外のでは学童はある程度たばこ煙に曝されていることが窺われた。今後、公共施設でも学童がたばこ煙に曝されないような対策を講じるなど、社会全体で喫煙防止の施策を図ることが大切であることが示唆された。
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