広島地域に生息している野生のオオサンショウウオ(以下GSと略)の生態及び河川環境に関するデータを収集するために、太田川水系でフィールド調査を実施した。その結果、天然の巣穴は河川改修や土砂崩れ等により減少している実態が明らかになった。また、産卵期には、堰堤の下で複数の個体が観察された。堰堤が産卵場所への大きな障害になっているといえる。 「オオサンショウウオとのふれあいプログラム」の事前・事後に調査を実施した。同プログラムは、(1)GSに関する資料提示(講義形式)、(2)人工飼育されたGSとのふれあい(フィールドワーク)の2部から構成されている。調査は、(1)GSのメタファー調査、(2)概念地図法による調査、(3)知識調査、GSに関する感想(事後調査のみ)から構成されている。結果については、現在分析中であるが、おおむね次のような特徴は見られるようである。 (1)メタファー調査:事前ではGSイメージが不明確で、拡散的であるが、事後では明確になり、より親しみ深いものに変容している。 (2)概念地図法調査:事前では、一般的・抽象的表現が多かったが、事後ではより具体的で親近感を伴った表現に変容している。また、事後の方が要素数も増大している。 (3)知識調査:その正確さ、量とも飛躍的に向上している。 (4)感想:不思議さや親近感に関する記述が多く、人間との共存の意識まで言及しているものも見られた。
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