研究概要 |
平成9年度から継続してきた本研究の最終年度の作業として,理学療法学臨床実習の学生の学習状況を測定する自己評価達成度チェックリスト(以下チェックリスト)を用いて,学生の実習中での理学療法過程の学習状況を継続して把握した。これまで得られたデータから,学生の側からみた実習各時期の全体目標が把握された.得られた全体目標は過去に行った調査に比べて目標数は少なくなり,また養成校ごとに対比するとばらつきが出ることから,別に養成校ごとに目標を設定される必要性が示唆された. また,臨床実習で指導者が実習評定でもちいている実習評価表に関して,これまで統計学的な信頼性・妥当性の検証が無かったためこれを行って,得られた知見を元にして学会発表を行った.実習評価表の数量化手法を用いた分析の結果,指導者の評価に重みを持つ項目が把握され,また個別の指導者のつけた細項目を数量化で点数化した得点と,同指導者の指導を受けた学生が行った自己評価の数量化の得点を対応させて,自己評定と他者評定の相違に対して検討し,考察を加えた.結果,学生の自己評価は全体としてみた時低く見積もる傾向があること,過大,過小評価を示す学生も少なからず認められ,特に過大評価を示す成績不良者への個別指導のあり方に検討が加えられる必要があった.一方,チェックリストの項目の信頼性分析と項目の精選を行って,指導者・学生が相互に利用可能となるよう改訂し,調査を行った.採取された学生と指導者のペアのデータより,学生と指導者の評価の差に関して検討し,考察を加えた. 本研究を遂行するにあたって得られた理学療法学における教育研究の文献に関して整理をして,これまでの本領域での研究の傾向把握を行ってこれを報告した.
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