理学療法学臨床実習中の学生指導をより効果的に行うため、理学療法過程の学習状況を把握し易くする76項目の自己評価達成度チェックリストを1997年度に作成した。このチェックリストの信頼性を1997年度、1999年度の2回にわたって検証し、他者評定として用いる臨床実習成績表の信頼性は1998年度に検証した(第1研究)。このチェックリストを用いて学生が示す臨床実習中の理学療法過程の学習状況は、1997年度から1999年度をかけて横断的調査(第2研究)として全体過程を把握させた。併せて縦断的調査を用いて学習状況を用いて学習状況を継続して観察し、実習成績表の評定と対比して学生の自己評価傾向を確認し、考察を加えた(第3研究)。 1999年度に指導者と学生が共用できるチェックリストに改定して、学生の自己評価と指導者の他者評価の差と一致状況に検討を加え、自己評価と他者評価のあり方に考察を加えた(第4研究)。股、総合考察を加えるにあたって1997年度に理学療法学の臨床実習の問題点を整理し、また1998年度に教育研究領域の研究状況を文献検索して傾向を捉え、理学療法学の領域での教育研究の問題点として報告した。 総合考察では学生の自己教育力を高め、自己学習・生涯学習のシステムに如何にして学生を乗せて行かを考察し、臨床実習の指導方法に検討を加えた。考察の結果、学生の理学療法の学習は学校教育で完成するものでなく、自己教育力を育成することを主眼とされる必要があり、自己評価能力の育成が必須となると考えた。臨床実習の場での指導方法は、この自己教育力の育成を目指してサポート的になされる必要があり、そのため指導者の他者評価と学生の自己評価との関係は、今後も研究される必要があると結論付けた。
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