研究概要 |
本研究の目的は,聴覚障害児の数学的思考力の育成を図るための指導法を開発することである.この目的を達成するために,今年度(2年計画の1年目)は,以下の3つの下位課題について検討を行ってきた;(1)聴覚障害児のニーズと社会の要請に応じた数学的思考力の検討,(2)数学的思考力育成の観点からみた聴覚障害児の数学の学習過程に伴う問題点の解明,(3)聴覚障害児の数学の学習過程に伴う問題点の克服を支援する指導法の理論的検討.これらの下位課題に対して,私たちは以下のような課題解決を行った.(1)と(2)に関わって,聴覚障害児の数学の学習過程に伴う問題点として,数学的思考力の育成を図るために重要な要因となる,数学的概念の必要性や意味を知ることにあたる概念的な理解の獲得が,聴覚障害児にとって難しいことを指摘した.そして,この点に関して,コミュニケーションと概念形成の側面から検討を行ってきた.(3)に関わり,この問題点の克服を支援する指導法の1つとして,テクノロジを活用したステップ・バイ・ステップアプローチやビジュアリゼーションアプローチを検討してきた.初年度の成果を受けて,2年目の研究では,以下の下位課題に取り組む予定である;(4)数学の学習過程に伴う問題点の克服を支援する指導法の実践的検証.
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