今年度はアマチュア衛星を主に高等学校の物理教育に活用するため、以下の3つの項目に関して研究を行った。研究成果は3回の学会発表と1件の学術論文で公表した(予定も含む)。 1.人工衛星を利用したドップラー効果の観測と演示実験 物理Aまたは物理IBの波動の単元ではドップラー効果を学習する。アマチュア衛星が送信するビ-コン(標識信号)を利用した電波のドップラー効果の効果的な演示(体験)実験と、ドップラーシフトの観測に基づく衛星の速度の測定実験を考案した。精度はあまりよくないが観測と解析が簡単な実験方法と、精度はよいが観測と解析が若干難しい実験方法の2種類を開発した。また、これらの実験を取り入れた課題研究を始めとする教育ブログラムも考案した。 2.人工衛星を利用した万有引力の法則の検証実験 物理IIの運動とエネルギーの単元では等速円運動と万有引力の法則学習する。人工衛星の軌道データを利用してケプラーの第3法則を直接検証したり、運動方程式を併用して万有引力の法則を間接的に検証する教育プログラムを考案した。さらに、アマチュア衛星が送信するビ-コン(標識信号)を受信することで衛星の通過時間を測定し、測定値から衛星の公転周期と速度を求め理論値と比較することによりケプラーの第3法則と万有引力の法則を検証する実験方法を考案した。 3.アマチュア衛星を活用するための受信設備 上記の項目1と項目2を学校教育(物理教育)で実践するために必要な受信設備として、ハンディタイプのオールウェーブ受信機と八木アンテナを組み合わせた簡便な装置を考案した。
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