1. 自作地震計システムの概要 10年前の試作以来、自作の地震観測システム改良を続けてきた。このシステムは器材、電気回路、ソフトウエアに至るまですべて手作りのシステムである。今回、この報告書をまとめるにあたり、この間の未発表の研究分を含めて、観測システムの詳細を記した。類似の器材を製作する上での参考になるように回路図、ソフトウエア等について詳述し、合わせて、学校等での地震観測における留意点についても詳述した。 さらに新たに開発した、簡易型センサーの製作・観測の要点についても述べた 2. 地磁気観測に向けたフラックスゲート磁力計の製作 身近で入手しやすいフェライトコアを用いたフラックスゲート型の磁力計を試作し学校等での恒常的な地磁気観測に向けた器材の感度とノイズレベルの検証を行った。この結果より、さらに高感度のセンサーを用いる際の幾つかの新たな知見が得られた。 3. 地震関連教材用ソフトウエア 地震波動の伝播(地球内部の地震波の伝播、“震災の帯"、モホ面での波の屈折等)や津波の伝播等を解りやすく教室で説明するPC用の数値シミュレーションを作成した。これらはいずれも専門家の研究としては数多いが、学校教材として開発された例は極めて少なく、教室で地学の基礎を学ぶ上での活用が期待される。 4. 教材用地震記録波形集 -近地地震- 5. 教材用地震記録波形集 -遠地地震- 学校教材用として、観測データの中から近地地震と遠地地震に分けて、地震観測波形を示し、教材として使用する際に参考になるコメントを記した。近地地震では特に兵庫県南部地震の余震、猪名川群発地震等の波形例も含めた。また、遠地地震では地球内部構造と地震波の形態の特徴との関係が解りやすい地震を選択し、震源距離別に示した。
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