研究概要 |
本研究は,撮影者がファインダーを通して捉えたショット中に含まれている情報(例えば,発言者と他者,特徴的な子どもを捉えているなど)の内容を検討し,また,撮影者の情報の取捨選択時における意思決定の有り様を推測することを通して,撮影意図に見られる授業観を分析し,授業を捉える視点を明らかにするものである。 本研究の第2年次である平成10年度は,次のような経過で研究を進めた。 1. 授業の録画:附属小学校において,同一の授業をベテラン教師と若手教師の計4人により,録画した。その撮影者の様子を別のメタカメラにより記録し,授業後に,撮影者同士による撮影意図に関する相互インタビューを行った。 2. 授業記録の分析:映像記録に基づき,授業の言語記録を作成し,フレーム検討視点群により,同一授業の複数の撮影者による記録を分析した。 3. フレーム検討視点群の再検討:上記分析をふまえ,撮影者の意図を推測する視点として,発言者をどのように捉えているか,コミュニケーションのどこに着目しているかなどを推測する「フレーム検討視点群」を再検討した。 4. 授業を捉える視点の枠組みの設定:撮影者の意思決定に関わる要因を,他に採り得ることのできる手立てと比較検討するというアセスメント手法を用い,撮影者が授業を捉える視点の枠組みについて検討した。 5. 訓練用ビデオテープの作成:文字化された授業記録と4画面を合成した映像記録を作成し,そのマルチ映像を視聴することによる授業参観の視点を得る教育用ビデオテープを作成した。
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