本研究は、日本人生徒(中学生、高校生)が言語学習(国語、外国語としての英語)において用いている学習方略の共通点、相違点を検討することを目的としている。そのため、国語、英語における学習方略を検討する調査票の開発が必要であった。 平成9年度は、第一に英語の分野における学習方略については、筆者がこれまで開発を手掛けてきた大学生、高校生対象の学習方略に関する調査票があるので、それを基にしながら、今回新たに対象とする中学生用の調査票を作成した。1997年3月に新潟県公立中学校3年生59名を対象に、学習方略に関する27項目についての調査を実施し、データを因子分析を用いて分析した。その結果、「暗記中心学習」、「自己チェック的積極的取り組み」、「単語中心学習」、「援助要求」の4因子が抽出された。その結果、27項目のうち5項目が不良項目と判断され、最終的に22項目が調査項目として選出された。 第二に、国語の分野に関しては、新たに調査票の開発に取り組んだ。調査票開発にあたり、まず調査票開発に不可欠なデータを収集したが、国内外の先行研究の文献等にあたったほか、本研究の対象者と同条件を備えると考えられる高校2年生 132名を対象とし、自由記述式のアンケートを実施し、調査項目作成の一次資料を得た。さらに数名の高校生に個人面接による聞き取り調査を行い、日本人学習者の国語学習における学習方略に関する資料を収集し検討した。その結果、40項目から成る調査項目を作成した。
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