研究概要 |
本研究は,わが国の大学などに在籍する外国人留学生(主にアジア)を対象としたコンピュータなどメディア利用によるコミュニケーション能力(情報活用能力)の育成を目的とした。 初年度(1997年)は,京都教育大学などの外国人留学生(98名)を対象に,コンピュータのレディネス,要望,問題点を質問紙により調査した。結果より,(1)留学生の多くがコンピュータの基本的知識や操作技術の習得に積極的で,コンピュータ関連授業を受講する機会を要望している,(2)研究・研修に役立つコンピュータ授業や,わかりやすい指導方法・技術を切望している,(3)調査対象の大学生のほとんどが,独学によりコンピュータの知識・技能を習得している,(4)コンピュータの機器操作の習得にあたり,言語など留学生独自の悩み(コミュニケーション)があることなどが判明した。これら結果より,指導改善の一策としてマルチメディア教材の活用に着目し,「コンピュータ学習の導入用CAI教材」を開発した。さらに大学院生,学部生各1名を対象に,本教材を活用した試行授業を行い,教授・学習過程における学習者と指導者,マルチメディア教材,印刷教材について,コミュニケーションの向上に寄与する点について分析した。結果より本教材の有用性として,(1)パソコンに対するアレルギーが軽減される,(2)コンピュータに関する基本的な知識・技能を従来より容易に習得できる,(3)学習者個々のレディネスや関心に応じて学習できる,(4)本教材の利用により既存の印刷教材やソフトウェア教材による学習への意欲付けに貢献したことが示唆された。これら成果については,日本教育情報学会や日本教育工学会の全国大会にて発表し,広く公表した。 次年度(1998年)は,これら成果をもとに留学生を対象とした教授・学習過程におけるコミュニケーションの改善を図るべくマルチメディア教材の開発・改良を行い,広く活用されるようにしたい。
|