本研究では、ユーザインタフェース分野で実質的に標準的な地位を確立したWebブラウザの利用を前提としたコンピュータ支援教育において、多様な学習者を考慮に入れたコースウェア教材の開発支援を目的としている。WWW情報システムの利用に際してはブラウザが唯一の制約条件であり、教育機関において大きな問題とされてきた機種依存性の問題が大幅に緩和されている。これにより、教材の共同利用が促進されるとともに、インターネットを介した遠隔地からの利用も容易に行える。さらに、ハイパーテキスト機能の活用は、多様な学習者を考慮したコースウェア開発にも適している。したがって、WWWを前提としたコースウェア開発手法の確立や開発支援ツールの実現は、教育におけるコンピュータの活用に大きく貢献するものと考えられる。最終年度となる本年度は、昨年度までに確立されたコースアウトラインダイアグラムをベースとした開発方法論やユーザインタフェースのプロトタイピングによる評価に基づいて、多様な学習者を考慮したコースアウトライン設計を支援するエディタの開発・評価が予定されていた。なお、昨年度まではHTMLドキュメントによるファイルベースの教材管理を想定していたが、今年度になってユーザによるタグの意味づけが可能なXMLの利用環境が急速に整い始めた。この応用技術は、インターネット上での教材交換を標準化可能なポテンシャルを持っている。したがって、本研究においても今後の研究の発展性を鑑み、コースアウトラインダイアグラムの教材構造をXML対応に設計し直すことが急務であると判断し、新たな教材構造定義の検討を進めてきた結果、コンポーネントの構造定義におけるXMLの有用性が確認された。併せて、データベースを利用したXMLドキュメントの管理手法等についても、継続的に研究を進めている。
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