(1) 大学入試問題の分析 昭和58年以降の共通一次試験およびセンター試験の「国語」の中の古典問題の分析を行った。解答のためにどのような知識、能力を必要とするのかを把握し、高等学校における占典能力が、学習指導要頗と入試問題でどのように異なるかを明らかにするためである。 現特点では、語彙および文法能力、そして文脈把握による類推能力が入試に求められる学力の中心であると捉えている。 (2) 教科書の分析 高等学校の国語教科書における古典の能力として何が求められているかを把握するために、教材毎の「学習の手引き」を調査、分析する。今年度は昭和40年以降の教科書の収集を終了した。 (3) 受験参考書の分析 昭和50年代以降、受験参考書が多様化しているが、基本的には仮説として設けた作品別解説型、主題内容対応型、文法事項解説型に収まることを確認した。この類型は戦前の中等学校や文検の受験参考書にまでさかのぼることが可能と推測する。 (4) 考察内容の追加 高等学校の古典教育における二極構造は、入試対策を要因のひとつとすることは明らかであるが、入試対策を目的とする学習内容は戦前の中等学校の入試対策と基本的に同様である。二極溝造を明らかにするために、入試対策を目的としない学習内容を明確にする必要がある。
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