(1)実践報告の分析 昭和40年以降の古典教育に関わる実践報告の整理と分析を行った。いわゆる非進学校での実践報告が乏しく、受験を目的としない古典教育の実態を捉えるには量的に不十分である。なお、調査の継続が必要であると考える。 (2)研究のまとめ 現段階での研究のまとめを行い。二つの報告を行った。 「〈学校古典〉と〈受験古典〉の関係」(『月刊国語教育』19巻9号)においては、古典科目の制度的変更が「学校古典」の充実には直結せず、むしろ「受験古典」の側にからめとられることを指摘した。また、二極化の解決策として入試の制度改変に頼らない、地道な実践報告が「学校古典」の実現可能性を持つことを指摘した。 「〈学校古典〉と〈受験古典〉の違い」(『函館国語』15号)においては、伊勢物語を例に、大学入試問題、受験参考書、実践報告、教科書の学習の手引きの比較考察を行い、その違いを明らかにし、「学校古典」実現が口語訳中心の授業からは実現できず、学習者の自由な読みとりに委ねる授業において実現可能であることを指摘した。
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