研究概要 |
本研究の目的は、発展的指導法によって図形の性質を見いだす能力を育成し、その指導の成果を評価するための適切な原題を開発し、中学校数学科の図形領域の各単元にわたり、指導内容と授業の展開過程、評価方法のモデルをつくり、実証的にその効果を明らかにすることである。この研究は平成9年度と10年度の2か年にわたるものであり、平成9年度は次の研究成果が得られた。 (1)単元「三角形の性質」における原題として次の問題は適切である。これは中学2年生を対象としての授業を通して実証された。原題「二等辺三角形ABCの辺AB、AC上に、頂点C,Bから、∠BCD=∠CBEとなるように点D、Eをとる。このとき、BE=CDであることを証明しなさい。」 (2)単元「いろいろな四角形」における原題として次の問題が適切である。これは中学2年生を対象としての授業を通して実証された。原題「長方形ABCDにおいて、BCの中点をMとし、AM,DCのそれぞれの延長との交点をEとする。このとき、AM=MEであることを証明しなさい。」 (3)単元「円の性質」における原題として次の問題が適切である。これは中学3年生を対象としての授業を通して実証された。原題「円Oに外接する四角形ABCDで、AB+CD=BC+ADであることを証明しなさい。」 (4)単元「三平方の定理」における原題として次の問題が適切である。これは中学3年生を対象としての授業を通して実証された。原題「∠C=90°である直角三角形ABCDにおいて、AB^2=BC^2+CA^2であることを証明しなさい。」 これら4つの単元については、各原題をもとにして生徒が自分で新しい問題につくりかえることを通しての授業の展開のしかた、予想される新しい問題、原題の発展性についての資料を得た。また、これらの授業を通しての生徒の反応を評価するために40項目の質問からなる「問題づくりによる授業の質問紙」を新たに作成し、上記授業の対象となった生徒に対して実施した。質問の内容とその集計結果は継続研究の資料として次年度用いるために、報告書(中間報告)の中に盛り込んだ。
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