研究概要 |
算数の図形分野に関して,学習形態の組み合わせが児童の情意形成と認知形成に及ぼす相互関係について,3つの事例にもとづいて,その特徴を明らかにした。 〈研究方法と分析方法〉 (1) 小単元毎に感想やわかったことを用意したカードに記入させる (2) カードをもとに情意と認知の相互評価表に記入(到達度評価研究会作成のシート) (3) それをグラフ化し,分析する(我々が開発した方法) 〈得られた知見〉 1 お互いが関連する内容であるが、授業方法や作業が独立している場合 (a) 発見型学習(b)問題解決型学習(c)問題解決型学習 (a) 『しきつめ』→(b)『2つの正方形』→(c)『テトリスをこえよう』(小学校4年生) 〈結果と知見〉 児童の情意形成と認知形成の相互関係が4つのタイプに分類された。それは、児童の日常的な特性と一致していた。 2 お互いが関連する内容であるが,授業方法や作業が独立していない場合 (a)発見型学習(b)問題解決型学習(c)問題解決型学習 (a)『2線分の位置関係の作図』→(b)『2線分の仲間分け』→(c)『垂直と平行』(小学校4年生) 〈結果と知見〉 1と同じ型の組み合わせの授業であったが同じ結果は得られず,(b)で情意面が下降した 最初が非常に盛り上がりすぎる内容であるときは,それに続く学習は一時的に冷えてしまい,その情意面での後退が,目的である新しい概念の獲得へとスムーズに繋がりにくいこと。その意味で,情意面での盛り上がりが予想される学習がどこにあるかによって,認知面での学習がコントロールされる可能性があること。 3 タイプの違う学習が間に入った場合 (a) 問題解決型学習(b)発見型学習(c)問題解決型学習 (a) 『正六角形と他の正多角形の性質』→(b)『円の直径と円周』→(c)『円の面積』(小学校5年生) 〈結果と知見〉 発見的な学習が問題解決的な学習の間にあるとき,児童の情意面は上がるが,認知面では問題解決的な学習より下がる傾向にあること。
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