理科の内容から創造的思考を測定する理科拡散的思考検査の作成を試みた。この検査では、原因追究、観察、結果の予想、データ解釈などのそれぞれの場面で拡散的思考がどの程度できるかが調べられる。設問は、1問多答形式であり、流暢性、柔軟性、独自性などの下位釈度から得点化される。さらに、類推も創造的思考の要素であるという立場から、理科類推創造検査を開発した。設問は、理科の事象から一般的内容を類推させるものと、一般的事象から理科の内容を類推させるもので構成された。これらの検査を中学生に実施した。その結果、テストの信頼性と妥当性が一部確認できた。 これらの検査結果と学業成績を調べる理科考査結果の比較を行った。その結果、知識記憶・理解力と創造的思考の間には、高学力群では相関がなく、低学力群には相関があることが明らかとなった。 概念地図法により、中学生の電気概念の実態把握を調べた。この結果と作成した検査結果の比較をした。その結果、高創造性群と低創造性群の間には、リンクパターンの種類、使用ラベルの内容や数、リンクの張り方などに違いが生じていた。次に、創造的思考を育成する理科授業を行った中学生と創造的思考を取り立てて指導しなかった中学生の比較をした。その結果、創造的思考育成法は有効に機能していた。また、授業前後で検査得点が上昇した者は、高学力群の中に多くいたことや、その他のいくつかの知見が得られた。
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