研究概要 |
本年度は,アート・ゲームの分類と教育上の意義に関する考察を中心に研究を行った。このアート・ゲームは,DBAEの4つのディシプリンのーつである美術批評の考え方にもとづく美術鑑賞教育の展開例である。米国ではこうしたアート・ゲームは美術館教育の現場で開発されたものも多く,日本でもいくつかの美術館で同様の試みがなされている。本年度は,刈谷市美術館,名古屋市美術館,滋賀県立近代美術館で企画・実施された内容に関する資料を収集した。特に名古屋市美術館では,筆者の提案した美術批評チェックシートを改訂したものを,解説ボランティアの養成講座で試用し,より使いやすいものに改良した。 また,小学校教員や美術館学芸員と協力して,学校の授業で使える美術鑑賞教材である『ポケット・ミュージム』を試作した。67点の作品カードをアート・ゲーム的に活用できる教材を作成した。また,米国のDBAE教材事例集や美術教科書の付録の図版解説などを参考にして,事例作品に関する児童・生徒への質問例などを話し合いながら作成した。 資料としては「Art Express」などの米国の美術教科書の最新版(1988)やゲッティ芸術教育センター発行のビデオ付きのDBAE理論書などを収集した。特に後者は,インターネット上で紹介される授業実践例の詳細な映像情報であり,最新のDBAE論を理解するために不可欠の資料である。
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