今まで収集した資料を整理・分類してそれらを検討することで得られた知見・成果は以下の通りである。また、DBAEの美術批評の考え方をもとにした美術鑑賞教材「ポケットミュージアム」の試作にも本研究の成果を応用できた。詳細は『科学研究費補助金成果報告書』(様式12)で報告する。 集めた資料は次の4種類に大別される。(1)米国美術教科書で特にDBAEの考え方に準拠するもの、(2)ゲッティ・センター発行の教師用指導書やビデオ・テープ類、(3)美術館が企画編集したCD-ROMなど電子メディア教材、(4)米国のDBAEに関する美術教育関係雑誌論文。 また、それらの資料を使った研究の観点とその成果は次のように大別される。 (1)DBAEの基礎研究、特に多元文化主義と比較芸術学的な研究。 ディシプリンは教育原理と造形原理とを統合する概念であるべきであるが、西欧美術の造形原理としての側面のみが強調されている。 (2)DBAE準拠教科書のカリキュラムに見られる理論と実際の関連。 造形原理の学習・理解とその応用という指導過程を重視しているが、わが国の指導要領で示されている考え方とは逆である。 (3)DBAE論の実験及び実証としての美術館教育と学校との連携。 特にアート・ゲームの実践は美術館教育を学校教育へ導入するという観点からも美術館と学校との連携を進めるという点でも意義がある。 今後はDBAEのディシプリンの一つである美術批評の教育を通して、地域の連携という形で美術館と学校とが共に美術教育を進めていくための提案をすべく研究を発展させたい。
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