研究概要 |
インターネットにおける理科教育実践の傾向が越桐の電子メールを用いた調査によって明らかにされた。これらのデータの分析から,木立は児童が研究的な態度で理科の学習に取り組むための条件を考察した。理科教育の内容はほぼ自然科学の構造に従って構成されていると考えられ,それぞれの内容の役割を明確に把握し,それらが担う固有の目的を果たすために適切な教材を選ぶことが不可欠であることを示した。 また,萩原は理科の授業設計において考慮されるべき諸要素を,特に子どもの日常生活から形成される概念,子どもの理科学習へのイメージ,学習過程における自己評価の傾向の3点から検討を行い,子どもの持つ既有の考え方から,個々の知識を結びつけるイメージを持たせる場を学習過程に位置づける必要性を指摘した。物理実験教材開発のテーマとして,加藤らは簡便な直線型クインケ管を用いた物理教材を開発し,音波の干渉や共鳴現象に関する演示実験を可能にした。例えば空気やその他の気体中での音速の測定が容易になった。島田は,物理現象のコンピュータ計測とそのコンピュータシミュレーションに取り組んだ。とくに振動現象に関しては,非常に多岐にわたるケースを網羅的に検討している。例えば,非線形復元力を持つ強制振動,パラメトリック励振,曲線の縮閉線に接する振り子の振動,など様々な場合に対して詳細なデータ計測を行い,系統的にこれらの現象を検討している。実験教材のテーマとしてもたいへん興味深い結果が得られた。
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