1.空間思考に関する立体の回転、合成・分解、投影・展開・切断、空間における定位、視点の変更と統合、、事象のモデル化や課題遂行における二次元図表示、言語・記号による説明等を要する問題場面で、小学生・中学生・高校生(約2000人)を対象に実態調査を行い、次の諸点を明らかにした。 小学段階では、4年位から立体の特性に注目した反応が現れ、5-6年で正反応率は低いが全体として中学・高校段階へ繋がる縮図を示す。中学段階では、立体の投影的・切断的見方、空間における定位、視点の変更と統合、図表現などにおいて、反応率の伸びが一定止まりになる。特に、図的表現力が弱いのが目立つ。高校段階では、学校差・個人差が大きくなる。他方、男女差に関して、特定の問題に対して、小学5-6年から顕著になり、学年進行とともに正反応率の差が(男>女)が大きくなる。 2.空間増と操作の特性について、児童生徒の記録・図やインタビューをもとに、次の諸点を明らかにした。 (1)空間像は次元的形象をもつ(2)空間像の操作の過程で、同次元の像のきり換えや低次元の像へのきり換えが行われる(3)像のきり換えは像操作の柔軟性を示す(4)像のきり換えや推論の主要過程は図表現に現れる(5)像の次元のきり換えには、投影、展開、切断などの数学的知識・手法および図表現が介在する(6)空間像の構成と操作、数学的知識・手法および図表現は補完的関係にあり、三者の相乗作用によって、空間思考は有効に働く。なお、これらの特性は空間思考を促し、制約する。 3.(1)基礎学力としての空間像の構成と操作、数学的知識・手法および図表現の位置づけ(2)空間思考の育成に向けての教材開発と指導法の観点(3)教材開発と指導実践例を提起した。
|