研究概要 |
21世紀のエネルギー・環境問題に対処していく上で理科・物理教育の役割は,極めて大きなものである。人間社会と自然とが調和ある共存を目指すためには,人間と自然についての一層の認識を深めていかねばならない。これらの問題を分かりやすく,身近なものとして理解するために小・中・高等学校で活用可能な理科教材を進めこの分野の生徒・学生の学習状況を調査研究している。以下にこの概要を示す。 1. 簡易霧箱の制作:ガラス容器,ガラス板,ペンライト,鉱物と液体窒素等比較的入手しやすい物を用意するだけで,容易に身の回りに存在する自然放射性物質からのα線,β線を観察できる教材を開発することができた。容器内に放射線により発生した飛行機雲の様子からα線,β線の区別をつけることも可能であり生徒・学生も自分で作成して安全に放射線を検出・観察することができる。この霧箱による観察を教育大の理科に関する授業で活用したところ神秘的で動きのあるようすが鮮明に見られ大層好評であった。また,この霧箱は「99青少年のための科学の祭典(徳島大会)」でも展示・活用され多くの小・中学生の関心を集めていた。 2. 放射線と放射能分布の写真フィルム利用による観察:身の回りの放射線を放出する鉱物,生活用品を用いて,また入手可能な写真フィルムを利用して,様々な感光実験を実施した結果,かなり微弱な放射能を有する物質・材料でも放射線・放射能分布の可視化が可能であることが分かった。様々なものが写真画像化されて上記「祭典」で展示され多くの大人・子供達が自分でもできる観察方法として興味をもたれた。 3. 原子力・放射線・放射能についてのアンケート調査:中・高・大学生を対象に広い地域でこれらの概念の意識・知識調査と分析を実施しているところである。これらについては一部物理学会等で発表してきた。
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