研究概要 |
本年度は,日常的な授業の工夫改善も研究のねらいに組み込み,課題設定型のティーム・ティーチングによる授業の開発とその評価の考察及び,ティーム・ティーチングの授業担当教諭に対する授業過程及び授業構成要素の評価について探究した。 授業開発では,まず文化として数学の獲得過程の理解を主題に,「古代エジプトにおける縄張り師のわざを解き明かそう」と題する実践を行った。目盛りとしての縄目を一度に10個以上作成する縄張り師の技術(Fire Escape Knot)の理解と修得させ,生徒が自ら作成した目盛り付きロープを用いてどのような正多角形や角が造れるかを課題設定によって挑戦させた。制限付きのロープワークのもとで問題解決するという数学的な活動に生徒の意欲的な挑戦を誘発することができた。 授業開発の2つ目には,数学・歴史・地理の総合的な学習につながるものとして大分の地域と関連する伊能忠敬の測量日記と彼の地図(伊能図)を取上げ,江戸時代における日本という概念の広がりとより良い日本地図を追求する過程の理解を図るとともに,伊能の師である〓橋至時と彼の師で,大分の排出した暦学者麻田剛龍等など日本の暦学の系譜を知り,大分(府内城下)の歴史地図をもとに伊能忠敬の歩いた道順をたどることによって地域の成り立ちをより深く認識する活動を展開できた。 授業過程に関する30項目の因子分析の評価によって,ティーム・ティーチングの授業では個に応じることへの対応,学習の創意工夫と意欲,開かれた学級作り,及び基礎的事項の定着という4つの側面があることを指摘できることがわかった。
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