研究概要 |
・総合的な学習教材の開発を目指したティーム・ティーチングによる授業では,地域に関連する題材として伊能忠敬の地図作成と大分の歴史を取り上げ,日本という地理的概念の変容,伊能図の精度及び測量に関わる数学の理解,地元の歴史的成り立ち等をより深く認識する活動を展開することができた. ・文化として数学を理解することを目的にしたティーム・ティーチングによる授業の実践では,古代エジプト時代における縄張り師のわざの理解を手掛かりに,ロープだけを用いていろいろな角の大きさや正多角形を作図する問題に生徒自らが挑戦し,その解決に意欲的に取り組む活動を引き出すことができた. ・ティーム・ティーチングによる授業について,保護者は必ずしもその名称や目的を理解しているとはいえないが,どの子にも基礎基本が身に付く指導を強く期待しており,大多数の保護者が今後もティーム・ティーチングによる授業の実施をぜひ推進して欲しいと考えていることが判明した. ・ティーム・ティーチングの授業に携わる教師への意識調査では,実際の授業は基礎学力の獲得を目指す丁寧な個別指導に力点があり,個性に応じた支援・指導というティーム・ティーチングのねらいからずれていることが明らかになった. ・ティーム・ティーチングによる授業実践の大きな課題として,子ども観のあり方が関わっおり,その本来的な目標の達成には,基礎学力の定着をめざすような教授される知識の単なる理解ではなく,独自の見方・考え方で課題を意識し,知識を構成して行く存在としての生徒という有能な子ども観に立つ教育へと,教師自身がその意識を切り替えていくことの重要性を指摘できた.
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