研究概要 |
本研究は,中学・高校・大学における普通教育としての情報教育を,先行研究での因子分析・クラスター分析・相関分析と合わせ,ファジイ分析により,その評価と分析を行うことを目的とした。研究は,学習者側と指導者側の両方から見た評価項目の設定を行い,同時に,ベテラン教師による授業評価を比較検討した。 これより,ファジイ分析(ファジイ測度・メンバーシップ関数・ファジイ積分など)を用いることにより,従来の分析で得られた結果,すなわち「興味・関心・意欲」「態度」の情意面と「学力定着」がカリキュラムの充実としての「情報リテラシー」の内容と密接に関係していることが明確にされた。また,情報教育の評価には,それぞれの学校段階の他教科の内容を加味し,中学段階では技能面を中心としながらも,全般的には情報科学(知識・理解面),情報管理(情意面),情報活用(技能面)の観点を取り入れ,課題解決と客観的表現を目標として基礎リテラシーを導入する内容が不可欠であることがわかった。これは,先行研究で得られた評価項目(情報リテラシー,コンピュータリテラシーの意義を踏まえたもの)とも一致している。さらに,学習者側の陶冶は,教師の人間性と実技・理論などの教科指導力や情報管理面を中心とした指導に影響することがわかった。 この結果,ファジイ理論(メンバーシップ関数とファジイ積分法)分析による評価は,先行研究で得られた結果,つまりの情意面と「学力定着」が「情報リテラシー」を中心としたカリキュラムの充実とその指導内容に関係していることが明確にされた。 今後の研究方向としては,学習対象者を情報教育以外の他教科も合わせ,学習段階のレディネスを考慮に入れながら分析を行う必要がある。その中で,学習者個々人の学習把握の形態とその集団など多面的に研究していこうと考える。
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