(1) 昨年度に引き続き、ハイパー・メディア関連のソフト、テキスト教材、教材作成メディア及び関連資料を収集し、検討を行った。外国及び日本で開発された、社会系教科関連教材、教材作成ソフト、教材ソフト、教材作成メディアを収集し、内容の検討に加え、その特性を、とくに異種メディアの組み合わせ方、教材開発への応用の可能性、教材として普及させる際のメディアとの親和性などについて検討した。 (2) 今年度は昨年度に引き続きハイパー・メディアを用いて行い、具体的な教材を開発することを試みた。その際、特にテキスト教材と画像及び音声教材との結合によりメディア・ミックス教材の素案を社会系教科の任意の資料単元的な形式で作成しようと試みた。昨年度学会及び論文で発表した、主としてハイパー・カードによるテキストと静止画像による「室町時代の一日」コースをふまえ、「室町時代の一月」コースの教材開発を以下の手順で行った。 i) 室町時代に関する歴史学等の文献を検討し、教育内容としての史実を選定する。その際、できるだけ新しい歴史学研究の動向を反映させるように努めた。 ii) 上記の史実を、現行高校日本史の教科書の内容と照らし、高校生に興味・関心を与え、なおかつ新しい知見を与えるよう、組み替え、ストーリー性を持つ内容に構成した。並行して、関連ある画像、音声、文字資料を収集した。i)ii)の成果として学習内容のアウトラインができつつある。 iii) 内容に対応したテキスト、画像のリンクや視覚効果、また音声による情報とリンクしするスクリプトを組み込みについては、「モデル教科書」という形でそのコンセプトを具体的な例を随伴して覚書を小論としてまとめた(本報告書提出日現在ではまだ公刊されていないがいずれ公刊予定である)。 iv) 以上の結果を、来年度、口頭または論文で発表し、批判・検討を仰ぐ予定である。
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