社会科関連のメディア・ミックス教材開発を目的とした本研究においては以下の研究成果をえた。 1.平成9年度は、高校日本史での使用を想定した具体的な教材開発をハイパーカードを用いて行った。開発された「室町時代の人々の一日」(トライアングル・コース)は、室町時代の人々の日常生活へ衣食住の3つの視角からアプローチする教材であり、ハイパーカードの特性をいかして、各種ボタンの設定によるカード相互のリンク機能、フィールドのスクロール機能、そして視覚的効果をいかした教材モデルとなった。成果は学会で発表した。 2.平成10年度は、ハイパーカード関連教材の収集・分析と、メディア・ミックスによる教材の部分的リンクや各種応用技術の習得、室町時代の朝鮮使節および当時の日本内外の状況の把握、など、方法と内容の両面に渡る検討を行った。 3.平成11年度は、高校日本史教材ソフト「室町時代の人々の一月」(ラウンドトリップ・コース)を開発した。この「室町時代の人々の一月」は朝鮮の使節の眼を通してみた当時の日本について、テキスト、画像、および音声によって情報が与えられ、リンク機能を活用して、テキストでも画像でも発問でも、任意の箇所をクリックすれば、直ちに関連情報がえられ、かつまた、軽度の視覚の障害者であれば、文字の拡大や読み上げで、少しでも、バリアを低くすることも試みた。成果は学会で発表し、論文にまとめた。特に電子教科書の形でのメディア・ミックス教材のモデルも公表した。 4.平成12年度は、高校日本史教材ソフト「室町時代の人々の一年」(ホームステイ・コース)を開発すべく、研究を行った。内容面では、とくに、どのような舞台とするかその背景はどうするかを文献・資料にあたって検討した。その際、アメリカ、フランスの教科書など各種教材を参考にした。方法面では、教材開発および関連ソフトについての検討を行った。
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