我が国の英語教育で培われる語彙力について、その習得状況を質的側面から明らかにするという目的で、意味、音声、綴りの3領域をとりあげた。今回調査の対象とするのは中学時に導入される単語に限り、語彙レベルでの意味^→_←綴り、綴り^→_←音声、音声^→_←意味の相互変換の能力を調べる計6種類の下位テストを作成した。被験者は神奈川県内のA短期大学の学生(英語専攻)51名である。 テストの対象とする単語の選定にあたっては、被験者である学生たちが中学時に使用していた7社の英語検定教科書の単語リスト(異語数2、767)を作成した。そして3社以上も教科書に採用されていた1、019語の中からそれぞれのテストに不適切と思われるもの(例えば外来語や同音異義語など)を除き30個の単語を選んだ。これらの単語を用いて6種類のテストを行う際、テストによる単語の学習効果を避けるため、また学習者によって得意なテストタイプがある可能性を考慮して、単語を3群に分け、被験者も3グループに分けて、同じ単語が3回以上テスト項目に再出しないようにテストを実施した。 6種類の下位テストの結果を比較する際には、単語の形態的、音声的また意味的な差異がテスト結果に影響を及ぼさないように、被験者ごとに下位テストの正答率を順位に変換して統計処理を行った。その結果、英語の綴りを与えられ日本語に置き換える、すなわち、<綴り⇒意味>のテストの結果が最も良く、<意味⇒綴り>と<音声⇒綴り>という2種類のテストの結果は中程度の成績であり、<意味⇒音声>という発話に関するテストは最も成績が悪かった。英語の総合力と6下位テストとの関連なども含め、詳細は分析中である。
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