研究概要 |
本年度においても、子どもが身近な事象をいかに捉えるか,また捉えたことをいかに分析し数学的な見方・考え方をとおして,その数理に迫ることができるかについて研究した.,その際,先行研究で得られた中・高校生,短大・大学の学生たちの持つ算数・数学の「負のイメージ」や生活感を伴わない「問題がとけたらうれしい」などの「正のイメージ」だけではなく,算数の学習においては「身の回りの事象をいかに捉え,論理的に分析し,解決方法を構築するかといった方法を学ぶものである」といった生きる力となる「プラスのイメージ」を持たせることのできる教育コースウェアの開発を目指した.その一環として「デッドロック=行き詰まり現象の数理」の構造についてや,「時間逆行の数理」や「アルゴリズムと算数教育」などの情報科学の知見から得られた各種の課題を子どもたちがどのように捉え,学び,そして数理的な分析を加えるかということについて,子どもたちの生活観からくる認知の様子を主に考察した結果,子どもは相対立する論理構造をどのように捉えるのか,自分と他者を意識した捉え方ができるのか,また子どもの生活環境との関わりが見えてくるのかを明らかにしようとした.さらにコンピュータを有効なツールとして活用することと共に,各自の考えを「ビジュアル(視覚的)」に表現させた.情報科学・情報数学の知見を活かした課題を中心として,子どもの持つ世界観を大切にしつつ算数の有効性や算数に対する興味・関心・意欲を生みだし,ひとりひとりが課題を粘り強く考え自主的に解決する力や,思考力・表現力・創造力・実践力を育成できる新しい算数・数学教育構築の一端を担えるよう試案をたてて研究と実践をおこなった.
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