日本語はモ-ラ言語であるという仮定のもとに、モ-ラを音声学的に実証しようとさまざまな研究がすすめられてきている。本研究では、あたらしいリズム単位を提案しているために音韻論的な研究が不可欠になっている。具体的には、韻律平面上にモ-ラさらには音節の上位概念としてリズム音節という単位を導入しているが、これまでにもある脚韻(フット)との関連も十分に検討する必要がある。このような観点から現在非線型音韻論についての基本的な考え方を学習している。同時にここで提出しているリズム音節という概念は、以前はリズムユニット2あるいはリズムユニット1とよんでいたものであるが、この単位が音声的にどのような実体をもつものであるか現在分析中であり4月あるいはおそくとも五月には結果が出る予定である。その結果をもとにして理論的枠組みを強化しながら、日本語学習者の音声分析に移行する計画である。 このようにリズム現象を長さの面から捉えて分析しようとしているわけであるが、実際には高さ、大きさなど他の韻律的要素も複雑にからみながら自然な日本語が形成されていると思われる。そこで関連のある研究として、アクセント句の形成のしかたについて前段階的な分析を韓国語を母語とする日本語学習者についておこなってみた。その結果、句の大きさそのものとアクセント核の有無あるいはその生起位置が特徴的であること、さらには長さの実現が日本語母語話者とは異なることなどが明らかになった。このような視点もとりいれて今後のリズム現象を捉えなおしていく予定である
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